2020/07/14 Tuesdayauthor: JummaNet事務局

2020年4月号掲載のチッタゴン丘陵の最新情報です

チッタゴン丘陵の近況(トム・エスキルセン)

和平協定記念行事

 122日に和平協定22周年を記念する集会がダッカで開催された。政府が「協定の74の条項の内48条項を実施した」と言う傍らで、暗殺隊RABを丘陵地帯に配置し、ジュマ内紛を煽り、PCJSS党員に100件以上の濡れ衣をかけ、陸軍が行政を牛耳っている現状が批判された。124日に国際CHT委員会による記念シンポも開かれた。労働党党首は、「和平協定を結んだ頃とは逆方向に向かっている」、チャクマ王は「政府が丘陵地帯の特徴をもみ消そうとしている」と述べ、スルタナ・カマール氏は、「現政権が協定を結んだ以上、実施する責任がある」と強調した。

 地委員会が入植者に妨害される

 223日にランガマティ市で土地委員会の会合に向かっていたPCJSS党首、チャクマ王、委員長(退官判事)の車が入植者に行く手を遮られた。入植者は、自分たちの代表のいない土地委員会は違法だと委員長に訴えた。

 でっち上げ事件

 1月1日にシュボロン・バザールにあるPCJSS M.N.ラルマ(改革)派の事務所に手榴弾(不発弾)が投げ込まれる事件が演出され、丘陵学生評議会(PCP)による犯行だと新聞が報じたことにPCPが抗議した。

 126日の新聞にPCJSS幹部が党員に「実力行使してでも募金を集めよ」と命じる偽造された手紙が掲載されたことにPCJSSが抗議した。

 2月9日未明、パンチョリ公立小学校の助教諭トルノ・カンティ・チャクマさん(52歳)の自宅に軍が押し入り、家中を荒らし回ったが違法な物は見つけられなかった。「兵士は、拷問で夫が気絶すると水をぶっかけ、棒4本折れるまで叩き続け、私を平手打ちした」と妻が訴えた。一週間拷問された後、彼は武器不法所持の濡れ衣で警察に引き渡された。

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ルノさんと銃の写真が1218日付カレルコント紙に生々しく掲載された

210日にボナ・クマール・トンチョンギャさんとモナ・クマール・トンチョンギャさんが猟銃のライセンスを更新するために警察署に出かけた帰り道、入植者にテロリストと通報され、軍に拷問された末に警察に引き渡された。署長は銃が合法と知りつつ、武器不法所持と恐喝の罪で2人を拘束した。

 紛による被害

12月1日にランガマティ県ボラダムでビクラム・チャクマさんが高速船に乗ってやってきた刺客に銃殺された。新聞が「募金の分配をめぐるPCJSS内の争い」と報じたことにPCJSSは抗議した。124日に同県ナニアチョル郡でショボ・チャクマ・グリークさんが射殺された。同県ロンゴドゥで11月3日にバッゴ・ジョティ・マルマさんが、1113日にミヒル・キロン・チャクマさんが誘拐された。いずれもPCJSS M.N.ラルマ(改革)派による犯行だとPCJSSは主張している。1118日にバンドルバン町ノアパラ村の村長モナラム・トンチョンギャさん、息子のシュッコモニ・トンチョンギャさん他1名が森の中で後ろ手に縛られて射殺された。新聞がPCJSSの内紛事件と報じたので、PCJSSは軍が匿っているアラカン解放党(ALP)の犯行だと反論した。ALPによる誘拐や恐喝事件も多発している。

出典:PCJSS広報誌「ジュマ・バルタ」10

019UPDF人権侵害報告

2019年の一年間にジュマ政党UPDFメンバー1人が強制失踪、14人が司法外殺害、74人が逮捕、42名が誘拐、女性9名がレイプなどに遭ったとUPDFが報告した。

昨年4月9日にUPDFのスポークスマン、マイケル・チャクマ氏は首都ダッカに戻る道中で行方不明になり、消息を絶っている。

治安部隊により「銃撃戦」に見せかけられた司法外殺害事件でUPDF関係者7名が殺された。823日にサジェクでシャンティプリヨ・チャクマ氏が軍に拘束後に射殺され、826日にディギナラでノビーン・ジョティ・チャクマ氏(32歳)、ブジェンドロ・チャクマ氏(50歳)、ルシル・チャクマ氏(26歳)が軍に拘束後に射殺された。46日にロンゴドゥで軍が釣り船に発砲してシュボプリヨ・チャクマ氏(26歳)を殺し、カプタイ湖に遺体が浮かんだ。1014日にナイッキョンチョリ郡グムドゥム・ユニオンの投票所で殴り合っている人々に国境警備隊(BGB)が乱射し、モンキョシャ・トンチョンギャ氏が即死し、オンチョイ・モン氏が病院への移送中に死亡した。

PCJSS M. N.(改革)派によっても党員7名が殺害されたとUPDFは主張する。昨年119日にカグラチョリ県ガーチバン村の自宅でピポルー・トリプラ氏が射殺され、129日に同県ロンゴドゥでポビトロ・チャクマ氏、2月19日にカグラチョリ町でトゥーシャル・チャクマ氏(19歳)、37日にバガイチョリでウドイ・ビカーシュ・チャクマ氏、3月15日にパンチョリでシュコモイ・チャクマ氏が射殺され、624日にマティランガで移動中の車からリポン・チャクマ氏(30歳)とアディ・チャクマ氏(23歳)が引き降ろされて射殺された。

116日にロンゴドゥで国境警備軍により17歳の少女がレイプ未遂に遭い、52日にロッキチョリでナゴリ・チャクマさんが、923日にカグラチョリでプロティラニ・トリプラさん(28歳)がレイプ後に殺害された。その他ジュマ女性3人がレイプ未遂、1人が誘拐に遭った。

出典:chtnews.blogspot.com 2020年1月2