CHT和平協定 締結!

■CHT和平協定が締結される

 長い対立と紛争の末、1997年12月2日に、PCJSSとバングラデシュ政府の間に和平協定が締結され、これで長い戦いに終止符が打たれることになりました。この協定では、PCJSSのすべての要求は叶えられませんでしたが、武装党員・難民の帰還・生活再建、土地問題の解決、先住民族を中心とした自治制度、6つの基地への陸軍の引き上げなど、重要な項目が盛り込まれています。関係者や国際社会はこの協定を、歴史的な協定として賞賛しました。
 以下簡単に和平協定の内容をご紹介します。

1)自治制度:
 まず、1989年からすでに導入されていた3つの県評議会(委員は2/3がジュマ、1/3がベンガル人)の管轄権を21分野から33分野68業務(土地管理、教育、農業、警察など)まで大幅に拡大しました。そして、その上位にCHT3県の一般行政・法秩序・開発・県評議会を「監督・調整」する「地域評議会」を新設することになっています。さらに、ジュマ民族を大臣とするCHT担当省を新たに設けることになりました。

2)土地問題:
 退官した判事を委員長とし、該当地域の民族首長(ラジャ)、地域評議会議長、県評議会議長、県知事を委員とする「土地委員会」を設置し、「CHTの既存の法規、慣習、制度に則って」土地争議に関して裁決する権限を与えることになりました。土地委員会は不法に占拠・収奪された土地の所有権を無効にする権能を持ち、その評決は最終的なもので控訴が認められないとされています。
 また、CHTでの土地の譲渡および収用の県評議会の事前の審議と承認の義務付け、土地台帳調査を実施して土地の所有の明確化、カプタイ・ダム周辺の土地を優先的に先住民族にリース、駐屯地の撤退で空いた土地を元の所有者か県評議会に譲渡する等が定められています。

3)非軍事化:
 PCJSS武装党員が武装解除して普通の生活に戻ったら直ちに、国境警備軍(BDR)と(3丘陵県庁所在地およびAlikadam、Ruma、 Dighinalaにある)6つの常設基地を除き、500近くあるとされる陸軍と準軍事組織の全ての仮設駐屯地を常設基地に段階的に引き上げ、その撤退時期を決めるとさられています。

4)難民と国内避難民の生活再建:
 政府が難民リーダーと1997年3月に結んだ20項目の協定に基づいてインド・トリプラ州に避難していた約7万人のジュマ難民を帰還させることになりました。土地を返還するほか、生活を立て直すための資材や現金を支給し、半年間、食糧を配給することが約束されました。国内避難民に関しては、政府が身分認定を行い、作業部会(タスクフォース)を通して生活再建措置を取るとしています。

5)PCJSS 元武装党員の復員:
 武装解除した先住民族ゲリラに対して恩赦を与えて起訴を取り下げ、投獄中の者は釈放することが約束されました。また、生活支援策として、国営銀行・政府機関からの債務の免除、公務員・政府機関職員の復職と年齢制限の緩和、家内工業・菜園など収入向上活動へ低利子ローンの提供が約束されました。また、CHTの地方公務員にも先住民族を優先的に雇用することとされました。