紛争被害児童・生徒への奨学金支援
ジュマ・ネットでは2007年から主にマハルチャリ襲撃事件で直接被害を受けた厳しい立場にある3名の生徒へ奨学金支援を始めました。
2008年度は、2007年度から奨学金支援を継続している3名と、新たに支援を決定した8名を加えて、合計11名へ奨学金支援を行いました。
ニデッション・キシャ:24歳(大学2年生)
2003年8月のマハルチャリ襲撃事件で父親を殺害され本人も左腕を銃剣でさされる被害を受け、母一人息子一人となりました。事件当時は16歳で、家は焼き討ちにあった後にUNDPの支援で建て直されました。ジュマ・ネットからの奨学金支援は、2007年から始まり、2年が過ぎました。2007年にHSC試験(上級中等教育終了証)に合格し、大学入学試験を経て無事に大学へ進学してカグラチャリ県マハルチャリ郡の実家を出て、大学のあるチッタゴン市で他の学生達と共同生活をしながら大学に通っています。現在社会学部2年生です。たまに小さな子ども達の家庭教師をやって学費や生活費の足しにしているそうです。
1年前は大学で勉強を継続できるか分からない経済状況もあったためか、進路についても「実家に帰って農業をやって暮らす」と言っていましたが、現在は、大学の成績も良いようで「大学卒業後はマスターに進み勉強を続け、その後はNGOに就職したいです。頑張って勉強しますので、どうか今後もご支援を続けてくださいますようお願いします。」と初めて明確に将来の希望を語り、成長を感じさせました。
クキ・チャクマ:19歳(SSC試験)
2003年8月のマハルチャリ襲撃事件では家を焼き討ちされ、本人と姉も暴行を受けました。事件当時は14歳でした。父親はなく、村で母と2人暮らしをしています。2007年から奨学金支援を受けていますが、2007年2008年と2年連続してSSC試験(中等教育終了証)に合格することが出来ませんでした。本人は進学を希望し、家庭教師をつけて勉強をしてきたと言っていますが、村で暮らしているために彼らの管理をしていた現地NGOのPBMも十分な管理やアドバイスが難しかったようですし、彼女もPBMにあまり頻繁には訪れなかったようです。2009年度の奨学金支給に関しては見合わせて様子をみることを決めました。
ニムニ・チャクマ:20歳(HSC試験)
ニムニの父親は1992年ロガン虐殺事件で殺された一人です。当時彼女はまだ赤ん坊でした。母親は再婚し、父親は平野部に出稼ぎに出ています。ニムニは長らくPBMに寄宿して家事や小さな子ども達の世話をしながら勉強を続けて来ましたが、2007年はHSC試験(上級中等教育終了証)に合格することは出来ませんでした。2008年も試験を目指して勉強してきたものの、残念ながら不合格でした。この間、PBMは様々な問題を抱え、もともと孤児院事業は経営が厳しかったこともあり、寄宿していた150名ほどの子ども達を養うことが出来ずに、家に帰らせています。ニムニもPBMを出てカグラチャリの親戚の家で小さい子どもの世話をしながら、女子学校に通って勉強を続けています。本人が進学を目指して勉強を続けているのであれば応援したい気持ちはありますが、クキと同様に2009年度の奨学金支給に関しては1度見合わせ、様子を見ることになりました。
<2008年度からの新規奨学生>

ルメ・ムロー:15歳(10年生)、アセンズ・ムロー:12歳(7年生)、デワイ・シドニー・ジョイ・ムロー:6歳(2年生)の3人兄弟
軍によるムロー民族の土地収用への反対運動のリーダーだった父親(ランライ・ムロー氏)が2007年2月に不当逮捕され、酷い拷問を受け心臓病を患いました。2008年2月にようやく釈放されましたが莫大な裁判費用と医療費と借金で生活も苦しく、子どもの教育費が捻出できない状況で、ジュマ・ネットとして3人の子どもの奨学金支援を行いました。

チャンドラ・トリプラ:17歳(SSC試験)、ショントゥア・トリプラ:15歳(10年生)の2人兄弟
トリプラ民族の人権活動家でリーダーだった父親(シャクティバド・トリプラ氏)は2007年に当局より逮捕命令が出され、逃亡生活を続けていました。家族も軍や当局のいやがらせを受けました。2009年1月に父親が逮捕されましたが、幸運にも翌月2月に釈放されました。生活が苦しくジュマ・ネットとして子どもへの奨学金支援を行いました。姉のチャンドラは不運にもSSC試験の直前に父親が逮捕され、家族の面会もさせてもらえず悲しい状況の中で試験を受けることになりました。

シュク・チャクマ:(6年生)、ディプ・チャクマ:(1年生)、リク・チャクマ:(1年生)の3人兄弟
2008年4月に起こったサジェク襲撃事件の被害者です。家が焼かれてもその村を離れずに暮らしていたことによってベンガル人入植者から恨みを買い、更に2008年8月にサジェク襲撃事件に関して