2012/08/16 Thursdayauthor: JummaNet事務局

【バングラデシュ入国拒否について】 理由説明および撤回の要請文をハシナ首相へ送付

7月23日、バングラデシュ、ダッカ国際空港に降り立ったジュマ・ネット共同代表:トム・エスキルセンが、同国への入国を拒否され、一晩空港警察に身柄を拘束されたあと、翌日の便で同国を強制退去させられました。

今回の出来事は単発的なものではなく、チッタゴン丘陵問題に関わる国内外のNGO活動への締め付けの流れの中で起こったものと考えられます。
これを受け、バングラデシュ政府へ理由の説明と入国規制の撤廃を求めるレターを送りました。

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2012年7月30日

バングラデシュ民主共和国首相
シェイク・ハシナ閣下

件名:バングラデシュへの入国拒否の理由の説明および将来の入国制限の撤回を求めます


拝啓

哀悼の日、8月15日を前にして、まずは、閣下およびバングラデシュ国民に衷心よりお悔やみ申し上げ、心から敬意を表します。バングラデシュ独立のために払われた尊い犠牲を世界の人々は決して忘れていません。貴国の持続可能な発展への着実な歩み、そして世界平和への貢献は、世界中から称賛されています。バングラデシュのダイナミズム、鮮やかで多様な文化、温かいおもてなし、美しい風景は、来訪者を魅了し続けます。だからこそ、私も過去25年間に二十回近くバングラデシュを訪問し、深遠な文学から学ぼうとベンガル語の勉強を続けてまいりました。

このため、2012年7月23日にハズラット・シャージャラール国際空港で入国を拒否されたことは大きなショックでした。私は2012年9月1日までの一年間有効な数次入国ビザを取得していたので、入国拒否の理由となるような手続上の不備は、私が知る限り、ありませんでした。空港警察に身柄を拘束され、7月24日にバンコクに強制送還された理由について、「チッタゴン丘陵で不審な活動をしている」嫌疑をかけられていると言われただけで、まともな説明を受けておりません。

2012年1月3日にも私は諜報機関に拘留され、尋問された後、不当にもバンドルバン丘陵県から退去するよう命じられました。県行政から入域許可証を取得し、検問所でも適宜チェックを受けたにも関わらず、です。私は許可された旅程表に記載された場所にしか行きませんでしたし、許可証で禁止されている活動も何ら行ないませんでした。にもかかわらず、地元の受け入れ団体は、私の入域を事前に全ての軍・諜報機関に知らせなかったことを非難され、私は市場の茶店で知り合いと会話をしたことを「政治密会」と烙印を押されました。マスコミは、私が許可なく同県に入り、秘密の会合を持ち、許可されていない場所に行ったなどと作り話を報じました。

CHT協定の完全実施およびチッタゴン丘陵での人権擁護のために政策提言活動を行う日本の非営利民間組織の一員として、今まで私は何度も現地を訪問し、全ての関係者の話を伺い、現状を理解しよう努めてきました。このような情報収集や影響住民へのアクセスは、政府のCHT協定実施の取り組みを支援する私たちの活動には欠かせないことです。
人権に関する主要な国際条約等を批准している民主国家バングラデシュがチッタゴン丘陵への外国人の訪問に対する制約を最近、厳しくしている理由が理解できません。同地域では、治安が比較的安定しており、長年、外国人も大きな事故なく働き続けてきました。こうした措置は、CHT協定の完全実施と同地域での平和と発展の促進を謳う貴政府の公約に全く相反しているように思えます。

私は、バングラデシュへの入国を拒否された理由に関する十分な説明を求めます。そして将来、チッタゴン丘陵を含めバングラデシュを訪問することに関して私に何か制限が課せられているのであれば、その撤回を求めます。さらに外国人訪問者、ジャーナリスト、NGOワーカー、人権活動家などが民衆の声に耳を傾け、現場の実態を理解した上で各分野に貢献できるようにするためにも、チッタゴン丘陵を含む貴国の全地域を自由に訪問できるようにされることを貴政府に求めます。

敬具


ジュマ・ネット 共同代表
トーマス・クリスチャン・エスキルセン