2010/02/20 Saturdayauthor: JummaNet事務局

チッタゴン丘陵地帯で再び紛争が勃発

バングラデシュ、チッタゴン丘陵地帯で再び紛争が勃発
軍発砲で2人の先住民族が死亡、ベンガル人入植者が民家200軒に放火
 Dairy Star Report(2010年2月20日)


昨日、ランガマティ県バガイチャリ副県(Baghaichhari upazila)の僻地ガンガラム・ムク(Gangaram Mukh)地区において、入植者との抗争で動揺していた先住民族に向けて軍が発砲し、すくなくとも2人の先住民族が死亡したと当局が公表した。
これに対して、先住民族側は少なくとも6人が殺害されたと主張している。
事件は金曜の夜に起きたベンガル人入植者のグループによる先住民族への襲撃事件の翌朝に起き、軍人1人を含む7人が負傷。両者の抗争は土地を巡る争いが元で起きたと、ランガマティとカグラチャリの特派員が報告。
 
金曜の夜、入植者たちが先住民族40世帯の家に放火したという。彼らは昨日(2月20日)の朝、軍が展開する中で、11ヵ村、160軒以上を焼き払った。先住民族の人たちによれば、入植者たちは教会や仏教寺院にも放火したらしい。
昨日の朝、軍が現地に到着し、状況を統制下に置くために警棒を振り回した。
ところが、鋭利な武器をもった先住民の男が陸軍のレザウル軍曹を襲い負傷させたことが、軍による発砲の事態を呼び起こし、状況は一層悪化した。
 
目撃者たちは少なくとも次の6人の死亡を確認したという。Laxmi Bijoy Chakmaさん(30歳)、 Liton Chakmaさん(34歳)、Buddha Pudi Chakmaさん(30歳)、Debendra Chakmaさん(43歳)、 Notunjoy ChakmaさんとBanashanti Chakmaさん(23歳)。
 
先住民族の負傷者は、Shanta Shil Chakmaさん、Amar Bijoy Chakmaさん、Nibesh Chakmaさん、Mrittunjoy Chakmaさん、Jitendra Chakma さん、Dari Chakmaさんである。
 
警察は死者2名を確認。ランガマティ警察のMasud ul Hasan警視はBudhha Pudi Chakmaさんの死亡を確認し、バガイチャリ警察署の署長はLaxmi Bijoy Chakmaさんの死亡を確認した。
 
しかしながら、PCJSSは先住民族8人が殺害され、25人が負傷したと主張している。
 
一方、バガイチャリ副県当局は昨日、副県内のマリシャ地区に144条を適用した。これは、PCJSSの学生組織丘陵学生委員会(PCP)と、ベンガル人入植者のプラットフォームである丘陵ベンガル人学生委員会が同時に事件の中心地での抗議集会を呼びかけたためである。
 
情報に依れば、金曜の夜、ガンガラム・ムク地区で隣のRusslesquare村から来たベンガル人入植者たちが先住民族の家40軒に放火し暴力沙汰が激発する事態に陥ったという。
 
地元の人々は、陸軍が入植者たちの放火をバックアップしたと申し立てている。
 
反対に陸軍側は、先住民族が何かの魂胆があって自分たちの家に火を付けたのだと主張している。
 
陸軍が被害を視察するために昨日の朝ガンガラム・ムクに行ったとき、地元民たちは彼らを罵倒する言葉を浴びせた。そして、すぐに非難の応酬となった。
 
朝10時頃、事件現場に先住民族が大勢集まったので、陸軍は彼らを追い払うために警棒を振るった。ある地点で、平服を着たレザウル軍曹が男に襲われた。男は鉈で彼を何度も切り付け、そして走って逃げ去った。
 
このことが先住民族に向けて兵士たちが発砲する切っ掛けとなった。少なくとも2人に銃弾が当たり、1人が即死状態だった。
 
発砲後、軍は入植者の一団と一緒になってガンガラム・ムク地区近隣の殆ど全ての村々で火を付けて回ったと、地元民たちが証言している。この放火攻撃の間にさらに人が殺された。
 
午後3時までにこの地域での銃撃は一旦収まった。
 
ベンガル人入植者たちによると見られる攻撃は先住民族の藁やトタンで出来た家、少なくとも200軒を灰にして中断した。
 
被害にあった村は、Guchchhagram, Gangaram Mukh, Hajachhara, Simanachhara, Retkaba, Jarulchhari, Dippara, Dane Bhaibachhara, Bame Bhaibachhara, MSF Para およびPurbapara。
 
ベンガル人入植者たちが昨日の朝まで放火を続けたため、先住民族社会は入植者たちに対する抗議を開始した。この抗議の間に6人の先住民族が負傷した。
バガイハット地区近隣から来た陸軍部隊は午前10時頃に事件現場に行き、抗争中のグループを鎮めようと試みた、と情報は伝えている。
 
先住民族によれば、ベンガル人入植者たちがガンガラム・ムク地区の先住民族の土地に新しい建物の建設を始めたことが、土地所有権を巡る紛争の引き金となったという。
 
彼らはまた、現在、地域全体が入植者と警戒中の軍の支配下にあるため、殺された人たちの遺体を引き取りに行けないという。
 
バガイチャリ副県のSudarshan Chakma議長は、この事件で約10人が死亡したが、ベンガル人入植者が事件発生現場に居座っているために遺体を収容することが出来ないと述べた。
 
バガイチャリ副県ニルバヒ行政官SM Humayun Kabir氏は、事件があったことを認めたが、彼は2人が死亡したとは聞いているが、但し、実際のことは分からない、と述べている。
 
彼はデイリースターの取材に対して、「私はガングラム・ムク地区の至るところから火の手が上がり、黒い大量の煙が後上っているのを目撃した。家々に放火するのも見た」と話した。
 
「私は状況をコントロールする目的で、陸軍とバガイチャリ警察署の署長と一緒に10時半頃ガングラム・ムク地区に入った。しかし、我々は入植者と先住民族の間に起きている争乱に直面して、それ以上先に進むことが出来なかった」とHumayun氏は説明した。
「多くの銃声を聞いたが、誰が撃っているのか確認出来なかった」ともいう。
ランガマティ県知事Sourendra Nath Chakrabarty氏は「事件について、私はまだはっきり知らないが、ベンガル人入植者と先住民族が土地紛争で敵対し、家が焼き討ちされたと言うことは聞いている。副県行政官が署長と一緒に現場に行った。従って、事件現場から戻った彼らからの報告で状況を確認したい」と語った。
 
バガイチャリ警察署のNoyeem Uddin署長は本紙の取材に対し、警察部隊を追加投入し配備に付けたのは、現地が制御不能な状況に陥っていたためである、と答えた。
 
<抗争の背景>
情報に依れば、2010年1月にバガイハットRetkaba村の先住民族がサジェク Bhumi Rakkha委員会の名前でバガイチャリ副県ニルバヒ行政官(UNO)に要望書を提出。彼らは、1月16日を最終期限として、ベンガル人入植者が強奪した土地の返還、当該地域在住および当該地域から僻地に入植したベンガル人の再定住支援の停止を求めた。しかし、何の成果もなかったため、村民たちは集会を開き、バガイハットマーケットのボイコットに出た。
 
1月21日、バガイハット管区の陸軍部隊がShaheed Ladu Moninマーケットに行き、マーケットでの不買運動をしているとの理由で多数の先住民族に殴る蹴るの暴行を加え、8人を負傷させた。
 
1月23日、サジェクの先住民族女性団体Sazek Nari Samajがディギナラ-バガイチャリ間の道路とバガイチャリ-サジェク間の道路を日の出から日没まで封鎖し、同じ要求を行った。
入植者の襲撃を受けてバガイチャリ小学校教頭Shakya Bodhi Chakma氏を含む先住民族15人が負傷した。
 
<事件に対する反応>
PCJSSは昨日、事件に抗議してランガマティ-チッタゴン道路においてデモ行進と集会を決行した。PCJSSは事件の緊急且つ公正な調査を要求し、もし彼らの要求が満たされない場合、より強力な抗議行動を展開すると警告した。
 
PCJSSはプレスリリースで、軍は入植者による攻撃を事前に止めることが出来たはずであるが、軍の一部とベンガル学生委員会の名の下で活動する極右民族主義グループが地域での土地強奪と無政府状態を作り出すために先住民族を攻撃したのだと主張。
 
UPDFはプレスリリースにおいて事件を非難し、2月22日にランガマティとカグラチャリに於いて、夜明けから日没までの道路と水路を封鎖することを宣言した。
 
丘陵ベンガル人学生委員会もまたランガマティ・リポーター・ユニティにおける記者会見で事件に抗議し、先住民族側を非難した。彼らはCHTにチッタゴン丘陵地帯委員会はいらないとし、先住民族を利益のために仕事をしていると同委員会を非難した。