2007/08/25 Saturdayauthor: jummanet(n)

カグラチョリ県で土地収奪が激化

初出:2007.08.25

8月28日、バングラデシュ陸軍の最高司令官であり暫定政権で実質的に最高の権威を振るうモイーン・U・アハメド将軍がカグラチョリ県ディギナラを訪問した。マスコミでは報道されなかったが、陸軍が同地域で土地収奪・入植地建設を急ピッチで進めている中で、政府の姿勢を示す動きとして見過ごすわけには行かない。

8月13日からディギナラ郡バブチョラ・ユニオンのシャードン・ティラ村で、ディギナラ管区司令官カムルル・ハサン少佐が率いる軍・警察の合同部隊がジュマ住民、数百世帯に退去命令を出し、その約300エーカーの土地に入植者約800世帯の入植地建設を進めている。僧侶たちも仏教寺院から出て行くよう命じられている。トラックでやってきた入植者が寺院境内の植生を切り倒し、住居を建設している。そこに移住する入植者には5万タカの一時金と月々1000タカの手当てが約束され、移住を拒む者は食糧配給を止めると脅されているという。軍は入植者に土地権証書を与えるよう郡役場にも命じている。

7月にはカグラチョリ町Dantkupya村でジュマ12世帯が軍によって伝統的な土地から追い出され、入植者200世帯以上が入植した。住民によると、3月8日に同地にベンガル32部隊の駐屯地が立てられ、2007年7月29日に第24歩兵師団総司令官(G.O.C.、CHTでの陸軍総司令官)もこのキャンプを訪問したという。

カグラチョリ県Kabakhaliモウザでも8月1日~15日にかけて入植者たちが軍やVDPなど民兵組織の支援を受けてジュマ17世帯の土地59エーカーを占拠した。軍はKabakhaliモウザに約200~300世帯の入植者を定住させる計画だという。

また、政府がディギナラ郡バブチョラ町からインド・トリプラ州との国境沿いにあるナライチョリ村まで新道を建設し、その道路沿いに数千世帯の入植者を定住させる計画を進めていることも分かった。ジュマ数百世帯が土地を奪われるだけでなく、マイニ保存林の貴重な森林や野生の動物・鳥類も危機に晒されることになる。

2007年8月のはじめ、カグラチョリ県ディギナラ郡メルン・ユニオンのベッチョリ村では入植者約200名がジュマの所有する水田5エーカーを力ずくで奪い取り、稲の苗を植えた。

同じくメルン・ユニオンのレンカルジョ村で入植者はジュマの丘陵地、約3000エーカーを奪い取り、茶園を作る目的で住居などを建てている。

ディギナラ郡ボアルカリの仏教寺院・孤児院の境内でも入植者は26エーカーの土地を奪い、住居を建てた。

カグラチョリ町アルティラの近くにあるデワンパラで、ジュマの医者コニシュカ・チャクマ氏が所有する土地で入植地の建設が完成に近づいている。

2006年4月3日に襲撃事件のあったカグラチョリ県モハルチョリ郡マイシュチョリでも、国内外からの非難の声にもかかわらず土地収奪は止まらず、すでに数百エーカーのジュマの土地が入植者に奪われている。

2006年1月~6月にかけて大規模な土地収奪・入植地建設が行われたカグラチョリ町ガマリダラ村(以前の会報で報告)でも、既に500エーカー以上のジュマの土地に約300戸の入植者の家が建っている。

その他、カグラチョリ県ディギナラ郡のチョングラチョリ村、そしてモハルチョリ郡のレムチョリ村とイッチョリ村でも入植計画が進められている。

出典:ACHR Review/182/2007、Hill Watch Human Rights Forum NEWS No. 28/2007 & No. 30/2007、HWHRF Review: Issue-03, August 12, 2007