2006年4月マイシチョリ襲撃事件 調査・報告と被害者支援の実施
2人の若いマルマ民族の女性が入植者達により残虐にも集団レイプされ、土地収奪を狙う入植者によって仏教系孤児院と多くの家屋が略奪され、重傷者数名を含む約50名の先住民族が負傷した。
また、1名の少年は刃物で傷つけられ重症を負った。
(写真:事件直後、小学校で避難生活を送る人々)
事件の発端は、事件前日の4月2日午後、ブッダ・シシュゴール(ブッダ子どもの家)という仏教系寺子屋の地所内に不法で家を建てて住んでいるベンガル人入植者世帯の女性数名が、隣接するサプルーカルバリ村のマルマ人の土地に新たに家を建てようとして草や木を刈り始めたところ、目撃した数名のマルマ人女性らが止めに入った。翌日3日午前8時頃、再び前日のベンガル人入植者女性数名がマルマ人の土地に入りこみ、石を投げたり罵声を浴びせたりして先住民族の村人を挑発し、昨日と同じマルマ人女性たち数名が棒を持って応戦したところ、予め待ち構えていた25名から30名のベンガル人男性が武器(棒や鉈、鎌などの農具)を持って村になだれ込み襲撃が始まった。襲撃に加わった入植者の数はその後も増え、トラックの荷台に数十名の入植者を乗せて加勢に加わったと見られている。またこの地域を管理する軍がこの襲撃の動きを見逃す形で事件に荷担したと考えられる。
レイプ被害にあった女性2名は、事件を裁判に訴えたが、報復を恐れて一時期は身を隠さざる得ない状況となった。
① 取材者の派遣と情報収集
事件の知らせを受けてすぐ取材者を派遣し、事件2 週間後の現場取材を行い、事件の経緯や現場状況、被害の規模などの詳細な情報を入手した。東京で関係者に報告会を行うと共に、英文レポート・写真を欧米の人権NGO
やCHT 支援グループに送り、情報提供を行なった。
② 事件後、家に戻れない9 世帯と2 名の女性被害者への支援
被害者支援の募金を募り、家に戻れない9 世帯と2 名のレイプ被害者への支援金(食料費、衣料費、日用品費等)として送った。
<レイプ被害者2名への3ヶ月分の支援>
治療費3か月分 60,000円
衣類 8,000円
食費3か月分 30,000円
日用品等 20,000円
交通費、通信費等 6,000円
雑費 10,000円
計 134,000円
<7世帯被害者への3ヶ月分の支援>
食費3か月分 130,000円
衣類 21,000円
日用品等 21,000円
交通費、雑費 13,000円
計 185,000円
総合計 319,000円
③ バングラデシュ政府への抗議
事件の詳細を日本国内、海外へ発信し、27 団体と255 の個人の賛同とともにバングラデシュ政府へ抗議文を提出した。