2003年8月26日(水)から27日(木)にかけて、バングラデシュ、カグラチョリ丘陵県モハルチョリ郡で、ベンガル人入植者により先住民族の村々が襲撃され、400家屋の家屋が略奪・放火された。暴徒を止めようとした
ラムチュリ村の老人ビノード・ビハリ・キシャ氏が軍関係者に軍施設に拉致され、袋叩きにされて死亡した。また暴徒から逃れている時に泣かないように口を父親に封じられた生後8ヶ月の赤ちゃんが死亡した。その他にも、多数の負傷者が出ている。さらに、パルトリ村の母娘3人、ドポジラニール
村の女性6名が集団レイプされた。さらに、4つの仏教寺院が攻撃され、仏像などが荒らされ、僧侶たちが暴力を振るわれた。
事件の発端は、ルパン・マハジャンというベンガル人商人が誘拐されたことに怒ったベンガル人商人たちが26日にモハルチャリの道路を封鎖していたところ、武器を持ったジュマの青年たち4人がその集団に発砲し、ベンガル人4名に重傷を負わせた。ベンガル人集団は逃げた青年たちを追ったあと、近隣の村を襲い、無差別な略奪と放火を開始した。放火と略奪は、翌27日いっぱい続いたが、治安当局が暴徒を止める措置をとった形跡はなく、多くの先住民族は軍人たちが積極的にこの暴挙に加担した証言をしている。
その後、事件に関与したと見られるベンガル人47名、ジュマ民族10名が警察に逮捕されたが、ほどなく仮釈放されている。
今回の事件は被害の規模で1997年12月の和平協定締結以来最大規模の事件であり、その背景にはジュマ民族とベンガル人入植者との間に土地を巡る深刻な争いがあり、かつ、今なお平野部から新たな入植者が流入し続けている現実がある。