2010/03/27 Saturdayauthor: JummaNet サイト管理者

和平協定完全実施を求める署名をハシナ首相に届けることができました!

昨年夏から今年3月まで行って来た「Global Voices for Peace in the CHT、チッタゴン丘陵和平協定を求める世界同時キャンペーン!」が無事終了しました。 2010年3月21日に、バングラデシュ、シェイク・ハシナ首相に和平協定実施を求める要請書と署名を直接届けました! (写真:2010年3月21日午後7時~8時会談をするシェイク・ハシナ首相と阪口直人国会議員、首相公邸にて)

報告者:ジュマ・ネット副代表 トム・エスキルセン


2010年3月21日(日)午後7~8時、阪口直人・田中美絵子 両衆議院議員(民主党)がバングラデシュ首相シェイク・ハシナ氏に35,757筆の署名を施した要請書を手渡し、去年8月から進めてきた「チッタゴン丘陵和平協定の完全実施を求める世界同時キャンペーン」が無事に終了しました。

首相との会見では、在バングラデシュ日本大使館の篠塚大使も同席し、1時間も真剣な議論が行われました。

「これは、私たちの問題です。誰よりも強く和平の推進を望んでいるのは私自身です!」

ハシナ首相の熱のこもった言葉に両議員とも共鳴し、チッタゴン丘陵における平和構築や地域経済活性化のために日本ができることについて熱心に意見交換が行われました。両議員は、日本企業にチッタゴン丘陵へのビジネス展開を働きかけることなど、継続的な行動を約束しました。

「署名手渡しは、決してゴールではなく、新たな出発点です」と阪口議員は会見後、抱負を語ってくださいました。

阪口・田中両議員は、出発直前まで議員会館を回って、約60人もの国会議員の署名を集めました。今後も、日本・バングラデシュ議員連盟や委員会で、CHTと日本の架け橋になってくださることでしょう。国会に力強い味方を得たことも、キャンペーンの予期せぬ成果となりました。その会談の様子が、以下の阪口議員のブログからも読むことができます。 http://blog.goo.ne.jp/xday0321/

実は、ハシナ首相との会見は、当日まで決まらず、両議員の全日程調整をしてくださった日本大使館には本当に大役を引き受けていただくことになりました。両議員がダッカに到着された3月20日(土)、ハシナ首相は、中国雲南省を訪問中で、会えるチャンスは半分もないと言われていました。両議員がエクマットラ、マザー・ハウス、グラミン銀行のプロジェクト、先住民族の学校などを訪問している間も、大使館は首相府と粘り強く電話で交渉してくださいました。その甲斐あって、ハシナ首相は、3月21日(日)昼過ぎにダッカ空港帰国した数時間後の会見を快く引き受けてくださいました。

先に現地入りしたトムは、3月18日にバングラデシュ先住民族フォーラムの事務所(上記写真)でジュマ活動家たちと署名の集約・集計作業を行いました。丘陵学生評議会、丘陵女性連盟、ヘッドマン協会など現地団体に電話連絡し、署名用紙をフォーラム事務所に届けてもらいました。積み上げて見ると高さ50センチ、重さ20数キロの署名用紙の山になっていました。海外の署名をソートして国別に集計したところ、実に105カ国から集まっていたことが分かりました。職人さんに頼んで本の体裁にまとめてもらうと、百科事典を十数冊積み上げたような形になりました。

署名をジュート・バッグに詰めて、21日午後にボノフール・カレッジ(上記写真)に運び、両議員・大使館スタッフの到着を待ちました。カンカン照りの茹だるような暑さの中、ビシッとしたスーツ姿の阪口議員、チャクマ・ドレスで華やかに着飾った田中議員がバスで到着され、教室を廻りながら、にこやかに子供たちと語り合いました。

歓迎式典の後、ショナルガオン・ホテルに移動して篠塚大使と合流し、首相公邸に向かいました。残念ながら私だけ別の部屋に案内され、首相に会えませんでしたが、帰り際に首相補佐官から受領書にサインを頂き、確かに署名を受け取っていただいたことを確認できました。首相会見は、テレビ・ニュース、デイリー・スター紙(英語)、bdnews24.com(英語)、プロトム・アロ紙(ベンガル語)で報道されました。

今回の署名キャンペーンでは、1976年ノーベル平和受賞者MaireadCorrigan-Maguire氏、日本の国会議員62名、オーストラリア国会議員4名、ネパール国会議員1名、バングラデシュ知識人を含む105カ国+12自治区の世界市民から署名35,757筆、メッセージ2754通が集まりました。ジュマ・ネット、Organising Committee Chittagong Hill Tracts Campaign(オランダ)、Indigenous Jumma People's Network USA (アメリカ)、Jumma People's Network of Asia Pacific Australia(オーストラリア)の共催で実施され、55団体から賛同を頂きました。

おそらくチッタゴン丘陵問題に関する史上最大の署名キャンペーンとなったでしょう。和平協定の合憲性を争う高裁裁判、駐屯地引き上げに対する入植者の反対運動、2月19日~23日にバガイチョリ郡サジェクカグラチョリ市で起こった襲撃事件が端的に示す土地収奪・民族紛争など、和平協定実施の前に様々な障害が立ちはだかっている時に、バングラデシュ最大の援助国・日本をはじめ世界中からハシナ首相への熱い応援のメッセージが届いた意義は、決して小さくないでしょう。世界の声がジュマ民族団結、様々な障害の打破の機運を高めることを願ってやみません。

遠路遥遥バングラデシュまで駆けつけてくださった阪口・田中両議員、現地調整を一手に引き受けてくださった篠塚大使、吉田一等書記官、小峰二等書記官はじめ駐バ日本大使館の皆様、時差を超えて無数のメールで議論し、真に国際的なキャンペーンにしてくださった海外の共催団体の皆様、ウェブやメール、チラシ同封などで広報に協力してくださった賛同団体の皆様、署名集めに奔走してくださったボランティアの皆様、全てを調整したジュマ・ネット事務局、そしてご協力くださった全ての皆様に心からお礼申し上げます。