2014/09/16 Tuesdayauthor: JummaNet サイト管理者

【詳報】軍による拷問でチャクマ活動家死亡?

8/20付CHTニュースでお伝えした、チャクマ活動家拷問死についての詳報です。

【PCJSS改革派メンバー拷問死の疑い】

2014年8月10日にカグラチョリ県グイマラでチッタゴン丘陵人民連帯協会(PCJSS)MNラルマ派(改革派)の地元リーダー、ティミロ・ボロン・チャクマ氏(別名ドゥラン、52歳)が軍によって拘束中に死亡し、軍と警察が厳重に警戒する中で荼毘に付された。
遺族や目撃者は拷問死と訴えている。
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拷問死が疑われる故ティミロ・ボロン・チャクマ氏


<軍の説明>

軍の説明によると、PCJSS改革派が密会をしていると聞いたグイマラ駐屯地のモビン大尉率いる一行が9日午前4時半頃、インドロムニ・カルバリ村のニシモニ・チャクマ氏の家を捜索したところ、軍用靴、軍服のズボン、募金用紙、現金3,557タカを見つけ、ティミロ・ボロン・チャクマ氏のほかニシモニ・チャクマ氏(40歳)、オモル・カンティ・チャクマ氏(18歳)、リアル・トリプラ氏(34歳)を逮捕したという。
拘束された4人が提供した情報に基づき、10日午前9時15分頃ティミロ・ボロン氏を連れてバイリャチョリのゴム園にいったところ、銃と弾薬2発が見つかったため、同氏が逃げ出し、丘から飛び降り、木の上に落ちて胸を打ち、負傷を負い、呼吸困難となったため午前10時半頃、マティランガ保健所に連れて行かれたが、午後1時半に死亡した。
遺体がカグラチョリ病院に運ばれて検死が行われたが遺族から警察に連絡がなかったため遺体を処理したとしている。
残る3人は恐喝容疑で警察に引き渡された。

<住民や警察の証言>

しかし、匿名を希望する住民と数名の警官は、9日に拘束後、4人が駐屯地に連行され、夜まで激しく拷問され、ティミロ・ボロン氏は健康状態が悪化したため、警察に引き渡されなかったとしている。
警官によると彼の遺体は検死のためにガクラチョリ病院に運ばれたのではなく、夜の間、どこかに保管されたという。
また目撃者によると、10日午後11時半ごろ、軍と警察は、火葬場管理当局に無断でマティランガ町モハジョンパラの火葬場の門を壊して入り、周りに非常線を張り、ティミロ・ボロン氏の遺体にガソリンをかけて燃やしたとのことだ。

8月12日にカグラチョリ町で丘陵学生評議会がデモ行進を行い、ティミロ・ボロン・チャクマ氏を死亡させた人々を逮捕・処罰するよう要求した。

<調査団>

8月13日にHill Watch Human Rights Forum(HWHRF)が行った現場調査で、ニシモニ・チャクマ氏の妻、エレナ・チャクマ氏は次の通り証言した:
「軍は、我が家にいた人たちを野外に連れ出して目隠しし、梅の木の下で激しく殴り、ブーツで蹴りました。
夫と二人の息子を殴らないよう懇願しましたが、無視されました。
彼らは、血だらけになるまで殴られ、何人かが失禁するほどでした。
胸から出血しているのが見えました。
殴られている最中にティミロ・ボロンさんは気を失いました。
ほぼ半死状態で兵士が彼を肩に乗せて連れ去るのを見ました。」

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ご遺族:向かって右から次男のロメン氏、妻のアロタラ氏、嫁のラキ氏と孫のイモンちゃん

HWHRFの調査員の一人はカグラチョリ拘置所でニシモニ・チャクマ氏、オモル・カンティ・チャクマ氏、リアル・トリプラ氏に面会することができた。
彼らは、自分たちが拘束され後に村からマティランガ陸軍本部に直接連行され、そこでティミロ・ボロン氏が更に拷問されたと証言した。
「兵士は彼を逆さ吊りにして、気絶するまで容赦なく殴り続けました。
兵士は彼を蘇生させようとしましたが、反応しませんでした。
マティランガ陸軍本部でそのまま死亡したと思います」と彼らは語った。

HWHRF調査団は、武器と弾薬が見つかったとされるゴム園にも行ったが、周辺住民は誰も8月10日に軍を見かけていないと証言している。
また、警察は、誰も遺体を引取りに来なかったので火葬したと言っているが、ティミロ・ボロン氏の出身地であるボイラファ村でHWHRF調査団がインタビューした長老の証言によると「8月10日の夜に警察が村にやってきて、ティミロ・ボロン氏の父親に息子の遺体を受け取りに来るようにと伝言するようユニオン評議会委員に頼んだ」と語っている。
このことからも警察がティミロ・ボロン氏の名前や住所を知っていたことが明らかである。
遺族に亡骸を受け取る機会を与えず、急いで真夜中に火葬したことは、拷問死の証拠隠滅が目的だったとしか考えられないとHWHRFは結論づけている。

(出典:ダッカ・トリビューン紙2014年8月12日付、デイリー・スター紙8月13日付、Hill Watch Human Rights Forum報告書「Licensed to Torture and Kill」(2014年8月20日))

訳・共同代表 トム・エスキルセン