2013/07/02 Tuesdayauthor: JummaNet事務局

チッタゴン丘陵土地問題委員会法の修正案に問題多し

CHT和平協定で土地問題解決の要となるはずだったCHT土地委員会に関する法律が和平協定と矛盾する多くの条項を含んだまま2001年に可決された。それ以来、和平協定で新設された自治機関であるCHT地域評議会は、その修正を求め続けてきた。2012年夏に地域評議会はCHT問題担当省および国会CHT協定実施委員会と13箇所の修正に関して合意し、2013年5月27日に法律の改正案が閣議に付され、2013年6月16日に国会に提出された。しかし、ジュマ民族が要求してきた13個所の修正のうち、10個所しか新法案に反映されておらず、その内、2箇所は不適切な形で盛り込まれている。

具体的には、6(1) 条(a)、 (b)および (c)項に「慣行」という言葉が含まれず、6(1) 条(c)項に「占拠された土地」という文言が入らず、不適切な修正となっている。
「Practices」(慣行)もしくは「Usages」(習わし)は、CHTでの土地管理の重要な用語である。その代表例として、CHTで政府が土地を収用もしくは割り当てる時に、その土地に関する紛争がないかどうか、必ず関係するヘッドマン(モウザ長)から報告・推薦を得るという慣行がある。
このためCHT和平協定では、土地委員会が「CHTの既存の法律、慣習および慣行に基づき土地紛争を解決する」と定めているが、今回の法案では、「CHTの既存の法律と慣習」についてしか明記していない。
また、和平協定では、「CHTの既存の法律、慣習および慣行に反して割り当てられ、もしくは占拠された土地」を本来の土地の所有者に返還するとしているが、新法案では、「占拠された」という文言が欠如している。このため土地紛争の7割ほどが土地委員会の管轄外となり、未解決のまま残ることが懸念される。

新法案に盛り込まれなかった3つの修正も無視できない。2001年の法律では「保存林、カプタイ水力発電事業地区、ベトブニア人工衛星地上局、国営産業および政府もしくは地元当局の名義で登記された土地」には6(1) 条が適用されないとしており、地域評議会は、この但し書きを削除することを求めてきたが、新法案に反映されなかった(訳注1)。
また、元の法律では、土地委員会の定足数を「議長を含め3人」としており、土地委員会で先住民族を代表する県評議会議長および当該サークル首長が不在のまま裁決ができるようになっていた。地域評議会は定足数を「議長を含め4人」とするよう要求したが、盛り込まれていない。
また、地域評議会は、土地委員会を土地省ではなくCHT問題担当省の管轄下に置くことを要求したが反映されていない。

土地紛争は未解決のまま非常に長い年月が過ぎており、頻発する暴力や襲撃事件の火種となってきた。土地紛争の円滑で適切な解決のために、CHT地域評議会およびCHT問題担当省の勧告に従い、和平協定との矛盾点をすべて解消した形でチッタゴン丘陵土地問題委員会法の修正案が国会によって可決されることが望まれる。

(訳注1:保存林には、ジュマ民族の慣習地も含まれており、内戦時代に多くのジュマ国内避難民が逃れて今も住み続けている。カプタイ・ダム周辺も人口密集地で土地紛争が多い。)


(出典:Daily Star紙へのPCJSS広報局長マンガル・クマール・チャクマ氏の投稿記事を抄訳)