2012/10/10 Wednesdayauthor: 共同代表 トム・エスキルセン

コックスバザール県で12の仏教寺院が放火、50戸が破壊 コーランを冒涜するフェースブック投稿が引き金に

2012929日(土)深夜~30日(日)未明にかけてバングラデシュ最南端コックスバザール県ラム郡で、暴徒が12の仏教寺院および住居50戸以上を破壊した。コーランを冒涜するフェースブック投稿が引き金になったと見られている。同県ウキア郡でも2つの仏教寺院が放火され、同県テクナフ郡でも仏教徒の住居5戸が放火された。チッタゴン県ポティア郡でも2つの仏教寺院と1つのヒンドゥー教寺院が荒らされた。破壊された寺院の中には、数百年の歴史を持ち、仏教徒の間で最も神聖視されている寺院もいくつかあった。

 

フェースブックでコーランを冒涜する写真が流布し、バルア人の青年が写真でタグ付されていたため、ベンガル語を母国語とする仏教徒コミュニティーであるバルア人の居住地域が暴徒の標的となった。青年は母親と共に警察に警護され安全な場所に避難した。バングラデシュ電気通信規制委員会(BTRC)の要請でフェースブックは写真をサイトから取り除いた。

 

ラム郡

 

警察や目撃者によると、フェースブックの写真に関する噂が流布した後、数百人がラム郡チョウムハニ地区に集まり、29日(土)午後10時ごろからデモ行進を開始したという。警察は非常線を張ったが人数で圧倒され、押し戻された。さらに数千人がトラックで県内各地からチョウムハニ地区に集まり、深夜になると「アッラーフ・アクバル」と叫びながら寺院や住居に火をつけ始めた。11時ごろに機動隊とRABが現場に到着したが、すでにバルア人居住地域で放火が相当進んでいた。12時半にはチェランガタ地区で築250年の名刹ボロカン・ブッダ・ビハーラ寺とシーマ・ビハーラ寺が放火され、全焼した。シュリークル地区のバルアパラ仏教寺院も荒らされた。暴力が激しさを増し、消防団の到着が遅れたので、仏教徒たちは1時ごろ、一斉に住居から逃げだした。2時半ごろ消防団が到着して火災を鎮めたが、すでに多くの寺院や住居が全焼していた。3時半ごろ、国境警備軍(BGB)、RAB、警察が地元有力者の協力の下、暴動を鎮圧し、事態を収拾した。

 

250年の歴史を持つシーマ・ビハーラ寺の住職、プロッギャナンダ・ビック師によると、赤いバンダナを額に巻いた8090人が火薬やガソリンを撒いて寺に火をつけたという。僧侶たちは火に水をかけようとしたが妨害された。

 

30日朝に県行政はラム郡で刑事手続法144条により集会禁止令を発令し、郡内にある27の仏教寺院に国境警備軍、RAB、警察が展開して警備に当たった。仏教徒の多くが逃げており、負傷者数は確認できていない。

 

ウキア郡

郡行政官によれば、930日午後7時半ごろ、コトバリ地区のボシュチム・ラトナ・シュドルション・ブッダ・ビハーラ寺が約500人の暴徒によって放火された。警察が駆けつけ、空鉄砲を撃つと暴徒は退散した。住民によれば、別の寺院も翌日午前7時ごろに襲撃されたという。

 

ポティア郡

930日朝にドゥルガー女神を祭ったヒンドゥー寺院と2つの仏教寺院が暴徒に荒らされ、神像や仏像が破壊された。警察は港湾労働者など26人を逮捕した。

 

テクナフ郡

午後7時半ごろ、同郡ホヤントン地区に数千人が集まり、仏教寺院を破壊しようとしたが、警察とBGBが空鉄砲を撃ち、暴徒を棍棒で攻撃して退散させ、10人以上を負傷させた。しかし、暴徒は代わりに仏教徒が住む地区に乱入し、住居5戸に放火した。

 

(デイリー・スター紙、2012101日を抄訳)

 

 

関連日本語ニュース

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0103R_R01C12A0FF1000/

 

http://www.cnn.co.jp/world/35022436.html