2011/04/22 Fridayauthor: JummaNet サイト管理者

バングラデシュ政府への要請文(日本語版)

バングラデシュ人民共和国首相シェイク・ハシナ閣下
駐日大使A.K.M.モジブル・ラーマン・ブイヤン閣下気付
 
拝啓
 
2011年4月17日にカグラチョリ県のラムガー郡とマニクチョリ郡でベンガル人4名と先住民族2名が死亡し、約20人の先住民族とベンガル人が負傷し、仏教寺院を含む両コミュニティーの約100戸の家屋が焼失した襲撃事件に関して深い憂慮の念を表明いたします。その直後に公共バスに乗っていた多くの先住民族が報復の暴力に遭い、その何人かの行方が今も分からなくなっているという報告にも愕然としております。このような正当化しようのない無差別な暴力を断固として糾弾いたします。また、近くをパトロール中の陸軍兵士が放火・攻撃を止めようとせず、国境警備隊もバス乗客が暴力を受けているときに見て見ぬふりをしていたという報告にも困惑しております。

今回の事件は、近年、チッタゴン丘陵地帯で憂慮すべきレベルまで高まっている民族間の暴力のパターンの繰り返しといえます。2011年2月17日にランガマティ県ロンゴドゥー郡グルシャカリ・ユニオンでベンガル人の死亡が引き金となって23の家屋が放火され、先住民族2名が重症を負った事件の僅か2ヵ月後、そして2010年2月19-23日にバガイチョリとカグラチョリで少なくとも先住民族2名とベンガル人1名が死亡し、500戸以上の家屋が焼失した事件の約1年後にこの事件は起こっています。いずれの事件でも、近くに多数の治安部隊がいたにも関わらず、未解決の土地紛争が火種となり、無差別な暴力と放火が荒れ狂うこととなりました。このような事件に関して独立した調査も行われず、加害者も訴追されていないことも大いに憂慮すべきことです。土地委員会による土地紛争の解決、そしてCHT和平協定の実施が遅れていることが、地元住民が実力行使に訴える一触即発の状態を生み出しています。

以上に鑑み、次の対策を早急に取られるよう貴政府に要請いたします:

1)      2011年4月17日の事件とその原因に関する徹底した中立的な調査を行い、その結果を開示し、責任を有する者たちを厳しく訴追すること。関係する軍事・民政・法執行当局の果たした役割を精査し、業務怠慢や犯行への加担が発覚した場合は、当該人員の責任を追及すること。
2)      放火と暴力の全ての犠牲者に救援物資と生活再建策を提供し、市民・NGO・援助機関なども被害者に支援を提供するために現地に自由に入れるようにすること。事件後に行方不明となっている人々の安否を確認すること。
3)      2011年2月17日にロンゴドゥーで、そして2010年2月19~23日にバガイチョリとカグラチョリで起こった放火・襲撃事件に関しても詳細で中立的な調査を行い、その結果を公表し、犯人を罰すること。
4)      2001年CHT土地紛争裁定委員会法をCHT地域評議会の勧告に従い、和平協定に合致した形で修正し、土地委員会が滞りなく適切に土地紛争を解決できるようにすること。
5)      貴政府の選挙公約に従いCHT和平協定の全条項を実施するための行程表を発表すること。

このような事件が二度と起こらないよう貴政府がCHT和平協定の完全実施と法の支配の推進という公約を果たされることを期待しております。

敬具
 
ジュマ・ネット共同代表 下澤嶽 トム・エスキルセン