2010/10/09 Saturdayauthor: JummaNet サイト管理者

改憲論議で先住民族が権利認定を要求

今年7月にバングラデシュ最高裁は、1975年~1991年までの軍事政権を正当化した憲法第五修正案を無効とする最終判決を下し、政教分離を謳った建国当初の憲法の精神に立ち返るよう政府に勧告した。

これを受けて憲法改正に関する国会特別委員会が結成された。与党連合が改憲に必要な2/3以上の議席を持っているこの重要な局面で、先住民族組織は憲法で先住民族の権利を認めさせようと声を上げはじめている。

これまでバングラデシュ政府は国内における先住民族の存在を否認し、あるいは「全国民が先住民族である」などと表明してきた。国連先住民族権利宣言も認めず、先住民族を意味するアディバシという言葉を公文書で使用しないよう省庁・自治体に呼びかけてきた。ようやく、差別的な意味も含む「ウポジャティ=部族民」の代わりに「民族的少数者」という意味合いの造語を公文書で使い始めたところだ。

ジュマ政党PCJSSは、今年7月にジュネーブで行われた国連の先住民族の権利に関する専門家機構の会議において、バングラデシュ憲法で「アディバシ=先住民族」の存在と権利を認める必要性をアピールし、法律だけではCHT和平協定が反故となる危険があると警告した。

2月にダッカで結成された「先住民族問題議員連盟」も「アディバシ=先住民族」の存在と伝統的な土地権を憲法で認め、平野部の先住民族のためにも土地委員会を結成するよう政府に提言している。国内マスコミやベンガル人知識人の間でも同様の論調が見られる。

一方、UPDFは、憲法で民族名を明記し、その「自治地域」を定めて強い自治権を与えることを求める要請書を政府に提出しているが、なぜか「アディバシ」ではなく「少数民族」を意味する用語を使っている。

「先住民族か否か」という点で足並みが揃わなければ、長年の念願だった憲法での権利認定も遠のいていくのではないかと心配される。

出典:デイリー・スター紙2010年7月29日、8月1日、9月18日; http://www.indigenousportal.com/; UPDF提言書。