2008/03/21 Fridayauthor: jummanet(n)

竹林の開花による「鼠の洪水」で飢饉

初出:2008.3.21

2007年8月からチッタゴン丘陵東部で竹の一斉開花による「鼠の洪水」という現象が起こり、今年に入って食糧難が深刻になっている。竹は40年~80年毎に一斉に開花・結実して枯れるが、鼠が竹の花や実を食べて猛繁殖し、作物を食い荒らす。この現象が1959年にCHTと接するインド・ミゾラム州で発生したときには、多くの餓死者が出て民族紛争の引き金となった。世界食糧計画(WFP)ランガマティ事務所が2008年1月に行った調査によるとランガマティ県とバンドルバン県の7郡に住む128,400人(25680世帯)の状況は特に深刻で、昨秋は稲など作物が鼠によってほぼ全滅し、蓄えた食糧も尽きようとしていたという。CHT地域評議会によると、特にバンドルバン県アリコドム郡のムロー人やトリプラ人の8割は食料が尽き、木の根などで空腹をしのいでおり、子供の栄養失調が深刻になっているという。ランガマティ県サジェクでは、すでに餓死者が2人報告され、ルシャイ人やパンコー人が危機的な状況にある。今年に入ってカグラチョリ県の7郡45ヶ村でも竹が開花し、食糧難が危惧されている。政府は1月に県評議会を通して被災世帯に1000タカずつ配布し、3月にCHT省は2県で穀物1200トンを労働の対価として配給するFood-For-Work事業を決定し、UNDPも7000世帯に一回限りの食糧配布を実施したが、来秋の収穫まで生活の目処が立っていない。WFPは700万ドル規模の緊急食糧支援を各国政府に呼びかけている。
(出典:世界食糧計画(WFP)、地域評議会、デイリー・スター紙08年3月17日、ニュー・エージ紙3月21日など)