2007/11/03 Saturdayauthor: jummanet(n)

土地収奪の画策が続くシャードン・ティラ村

初出:2007.11.03

バングラデシュ陸軍はカグラチョリ県バブチョラのシャードン・ティラ村での土地収奪を諦めていない。2007年8~9月にかけて脅迫・威圧で土地を奪おうとして失敗したが、戦略を転換し、裁判手続きなどで目的を達成しようとしている。偽の土地権証書を県行政に作らせ、土地に対する主張を通そうとしている。

ある入植者が、同地のジュマに対する立ち退き命令をカグラチョリ県裁判所に求め、10月26日に県裁判所判事はシャードン・ティラ村のボノ・ビハール仏教寺院委員会書記、スネホモイ・チャクマに対し、2008年1月23日に裁判所に出頭して陳述書を提出するよう命じた。また、次の指令まで現状を維持するよう当事者に命じた。

一方、入植者たちはシャードン・ティラの土地に対する偽の土地権証書を入手していることが分かった。証書には土地の境界線、種類、所有形態が明記されているが、1984~85年に土地権が譲渡されたと記しながら、いずれも2004年10月21日付けで書名されている。明らかに偽造である。しかも、証書では入植者がこの土地に対する税金を国庫に長年、納めていたと記している。

CHTの土地管理制度では、当該地域の先住民族首長の許可なしに土地を譲渡することは禁止されており、土地税も首長を通して政府に支払うことになっている。これらの土地権証書は首長の許可無く発行され、土地税も彼を通して支払われていないので、法的に無効である。

最近のディギナラでの土地収奪を陰で操るディギナラ管区副司令官カムルル・ハッサン少佐は入植者に有利な世論を形成するため、9月に新聞記者を駐屯地に招待し、入植者を擁護する似たような記事が国内数紙に掲載された。

一方、政府高官がさまざまな理由をつけて同地を訪問している。10月21日にチッタゴン省知事がプロジェクト視察の途中でシャードン・ティラを通過し、この土地問題に関してカグラチョリ県知事とディギナラ郡行政官と密かに会談したといわれる。10月23日には入植者リーダーがディギナラ行政官を招いてシャードン・ティラでピクニックに見せかけて密会したとも言われる。翌24日にディギナラ行政官は「シャードン・ティラ土地問題を整理する」会合を召集し、入植者と先住民族のリーダーを呼びつけた。行政官は地図を広げ、シャードン・ティラ村のどこの「カース地(無所有地)」が入植者に譲渡されたかを説明しはじめ、近々測量を行って入植者の土地の境界線を引くと言い出した。ジュマ代表は激しく抗議し、そのような空き地は無いと主張したが、行政官は聞かなかったという。このように、仏教寺院、座禅道場、多くのジュマ民族の住居を含むシャードン・ティラ村の約300エーカーの土地を収奪する陰謀は続いている。

1983年に政府はジュマ15~20世帯を追い出してベンガル人入植者812世帯を同地に定住させたが、ジュマの激しい抵抗で、入植者たちは引き上げられ他地域のジュマの土地に再定住させられた。和平協定後、ジュマ難民が同地に帰還し、寺院・座禅道場などを建設した。こうした土地問題は、政府がチッタゴン丘陵の伝統的な土地法を無視して1979~84年に40万人もの入植者をCHTに定住させたことに起因する。入植者は民族浄化の道具として使われている。

HWHRF Review: Issue-04(2007年11月3日)