2005/08/09 Tuesdayauthor: jummanet(n)

国際先住民族の日・1

国際先住民族の日 先住民族が権利を求めてダッカで行進・集会
(各社新聞記事、国連関係HPよりダマイ連絡員が編集)

8月9日の国際先住民族の日に、バングラデシュの先住民族はダッカで盛大な集会を行い、憲法で先住民族を認知するよう呼びかけて、建国以来34年間認められてこなかった権利の回復を求めた。「先住民族には民族自決の権利がある!」というテーマを掲げ、土地に対する権利を求めて約5000人の先住民族たちがバングラデシュ全国からダッカ市のショヒード・ミナール(言語運動殉死者記念碑)に結集した。民族衣装を着たチャクマ、マルマ、トリプラ、ガロ、カーシー、サンタル、オラオンなど先住民族の人々は、歌や踊りを披露する文化の祭典を繰り広げた。

ショヒード・ミナールで行われた開会式では、バングラデシュ先住民族フォーラム代表ジョーティリンドロ・ボーディプリヨ・ラルマ氏(別名ショントゥ・ラルマ)が議長を務め、バングラデシュ・アワミ連盟書記長アブドゥル・ジャリル国会議員、バングラデシュ共産党総裁モンジュルル・アーサン・カーン氏、国民社会主義党総裁ハサヌル・ホク・イヌ氏、労働者党書記長ビモール・ビッシャス氏、アイン・オ・シャリシュ・ケンドロ(法律・仲裁センター)事務総長スルタナ・カマール氏、バングラデシュ共産主義党総裁ディリープ・ボルア氏、ダッカ大学のデレム・チョンドロ・ボルマン教授とメスバ・カマール教授が演説を行った。

先住民族フォーラムのショントゥ・ラルマ氏は「CHTで陸軍は先住民族の権利を踏みにじっている」と語り、チッタゴン丘陵地帯から軍の駐留地を即時撤退させるよう要求した。人民の利益に適う政権を確立するために、先進的な民主主義勢力と手を携えるよう先住民族に呼び掛けた。また、アワミ連盟政権は和平協定の調印後、四年間実権を握っていながらも和平協定を実施しなかったが、やれば実施できたはずだと語った。CHT地域評議会議長、PCJSS代表を兼ねる同氏は、現BNP連合政権も和平協定を実施してこなかったことを強く批判した。「極端な国粋主義的な政権は、先住民族に対して頑迷な態度をとり続け、先住民族を苦しめてきた。この十年間の成果は取るに足らない。」

ダッカ大学で歴史学を教えるメスバ・カマール教授は、バングラデシュ北部の先住民族の99%が日雇い労働者となっており、政府が彼らの先祖代々の土地に対する伝統的な所有権を認めてこなかったことを指摘した。有力者たちは彼らを長年抑圧してきた。CHTでも同じ傾向で多くの人が傷ついていると語った。

午後は工学研究所で討論会が行われた。主賓のカマール・ホセイン博士[バングラデシュ憲法起草者の一人]は、先住民族が長年、多くの脅威に晒されて生きてきたと語り、現連合政権が先住民族に対してさらに敵対的な態度を取っていると述べた。先住民族もバングラデシュの独立に貢献したことに触れ、彼らが権利獲得のために団結する必要性を訴えた。政府が「特定コミュニティーだけを優遇する政策を追求してきた」ことを批判し、先住民族と貧しい人々が一致した運動を展開すれば、「独立の精神に反し、国民に敵対する政権の悪政」を終わらせることが出来ると語った。国民は先住民族もベンガル人も分割支配政治に反対して声を上げ始めていると彼は語った。「ベンガル人 対 先住民族という問題ではないはずだ。先住民族を抑圧し、その住居を破壊し、母なる大地から追放しようとしている支配者に対して力を合わせて闘う時が来た」とカマール博士は語った。

特別ゲストのプロモード・マンキン議員は、CHTから軍の駐留地を速やかに撤退させるよう政府に呼び掛けた。「軍隊はCHTの先住民族の権利を踏みにじっている」と語り、「政府は先住民族の土地を「カース地」(未利用国有地)と呼んで取り上げ、森林局は保存林を指定することによって何千人もの先住民族を追い出してきた」と付け加えた。

特別ゲストの欧州委員会大使・使節団代表エスコ・ケントロシンスキー氏は、残念ながらバングラデシュでは現在も軍が先住民族の先祖代々の土地を収奪し続けており、民主国家としては極めて望ましくない、受け入れがたい状況だと語った。先住民族の権利のために有効な役割を果たすためには、口先だけでは駄目で、正しい行動、態度、接し方が求められると語った。カグラチョリ県モハルチョリで起こったような事件は二度とあってはならないと述べた。先住民族の命の安全を守ると共に、その生活や生計手段を保証することは政府・国家の大きな責任であると語った。

会合で議長を務めたショントゥ・ラルマ氏は、先住民族の若者たちに、状況を理解する努力を怠らず、「新植民地主義」と闘う準備をするよう呼びかけた。「私はCHTの自然の森や土地に抱かれて育ったが、今はCHTの外から移住してきた入植者たちが私やPCJSSリーダーを排斥しようとしている。CHTの先住民族が軍事支配下でいつまで生き残れるかは分からない。子供たちは恐怖と悪夢の中で育っている」と語った。

ダッカの全国記者クラブではバングラデシュ先住民族フォーラム、PCJSS、丘陵女性連盟などの代表者による記者会見が行われ、政府に10項目の要求を行った:

1.バングラデシュ憲法で先住民族の自決権を認めること。
2.伝統的な土地、森林、環境に対する権利を保証し、先祖伝来の伝統的な土地に永久に住み続けることが出来るようにすること。
3.先住民族の先祖代々の土地で、いうところのエコ・パークを開発するのをやめること。
4.CHT和平協定を速やかに正しく実施すること。
5.先住民族に対する拷問、抑圧、虚偽の訴訟、土地収奪を止めること。先住民族に対する土地収奪、嫌がらせ、差別行為を行った者を罰すること。
6.CHT担当省と同じような平野部の先住民族のための中央省庁を作り、土地委員会も設けること。
7.先住民族児童が母国語で初等教育を受けることができるよう保証すること。
8.政府・民間のプロジェクトもしくは開発事業を先住民族の土地・テリトリーで行う際には必ず自由意志による、事前の、十分な情報に基づく同意(free, prior informed consent)を先住民族から取り付けること。開発プロジェクトへの意味ある参加を保証すること。
9.ILO 107号条約を含め、バングラデシュが批准した国連条約、議定書、宣言を遵守すること。
10.国の政策立案過程における先住民族代表の参加を保証すること。