2013/10/25 Fridayauthor: JummaNet サイト管理者

ドゥルバル・ネットワークを通した女性支援活動(2010年~2013年)

R0011147.JPGチッタゴン丘陵地帯では内戦期から今日に至るまで、襲撃事件や土地収奪に伴う女性に対する暴力事件が多発しています。犯人の多くは軍人や入植者やベンガル 人有力者ですが、その多くはほとんど正当に裁かれることがありません。貧しく、立場の弱い人々は報復を恐れて、犯人を訴えることが出来ずに泣き寝入りする 場合が多く、特に法的アクセスが難しい遠隔地の場合は被害そのものが表に出ることなく慢性化しています。

多くの被害者は精神的、肉体的な ダメージを十分回復できないことが多く、裁判に訴えると報復に遭い、ジュマ社会からも疎外的に扱われるなど、社会の中で正当な形での支援活動が成り立ちに くく、支援が十分に届いていません。

 こうした日の当たらない被害者への支援を展開するため、2010年7月から3ヵ年計画で、バングラデシュの女性ネットワーク組織「ドゥルバル・ネットワーク」を通して、女性たちのネットワーク強化と被害者支援活動を支援することを決めました。

    ・・・第一フェーズを終えて(2010年7月~2013年6月)・・・


R0011140.JPG女性の権利と社会的立場の向上を目指して結成された全国ネットワーク組織であるドゥルバル・ネットワークのチッタゴン地域と連携して、特にレイプ被害にあった女性の保護と社会復帰支援を3ヵ年パイロット事業として実施してきました(2010年7月~2013年6月)。この3ヵ年パイロット事業は、カグラチョリ県の草の根団体であるカグラプール女性福祉組合(KMKS)を中心に、チッタゴン地域の5県で協働、情報共有するなど連携する形で進められてきました。

しかし、2011年頃から政府による先住民族支援活動への妨害が続き、事業地訪問が出来ず、被害者から直接状況を聞く機会がなくなっていきました。また、現地の団体も、一時期活動がしづらい状況に陥るなど、思うように活動が出来ない点がありました。

そのような状況のなか、法的手続きのサポートを行い、そのうち勝訴した事例があった点は、このパイロット事業の成果のひとつとなりました。しかし被害件数に比べ、まだまだ訴訟件数が少ないのが実情です。

また、特にこの1-2年ほど、18歳未満の少女を含むレイプ(後に殺害の場合もある)事件が多く発生しています。このような状況で、被害者支援の必要性は一層高まっているといえます。また、数件の社会復帰支援も行われました。具体的には、被害者および被害者の家族に資金を支援し、牛の肥育をするなどです。

ネットワーク事業においては、各県、各支部の連絡会議、地区代表会議などが定期的に開催されてきました。また、被害者支援活動に付随する業務の効率化を図るためのスタッフ向け研修、女性への暴力問題や女性の権利に関する女性キャンペーンの実施、高校授業での啓発、有力者や地元リーダーとの会合が何度が実施されました。

            ・・・第二フェーズへ向けて・・・

2013年冬(予定)からは、同3ヵ年計画の第二フェーズを実施することを予定しています。現在、その詳細な計画や予算の策定を現地と調整しているところです。今後は、ドゥルバル・ネットワークではなく、より活発な事業を実施している2つのグループと協働して新3ヵ年計画を進めて参ります。これまでも中心的な役割を担ってきたカグラチョリ県のカグラプール女性福祉組合(KMKS)と、コックスバザール県のコルモニールという団体です。今後も、女性たちの地位を向上させ、レイプや暴力の被害を減らし、女性たちみんなが安心して暮らせる社会をつくることができるよう、活動を続けていきます。

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(写真左がKMKS代表のシェファリカさん)